僕は結局3年近く、似顔絵師として活動する事となる。
ズブの素人でも似顔絵というニッチな世界に絞って3年間頑張れば日本一上手くなれるかな?と思っていたのだが、絵の世界はそんなに甘いものではなかった。
むしろ、絵の世界は残酷だった。
絵の世界で活躍できるか否かは、小さい頃にどれだけ絵を描いてきたかだった。
周りの天才たちは、小さい頃から時間を忘れて朝方になるまでずっと絵を描いていたり、学生時代にデッサンで高校受験や大学受験をしてきたような人ばかりだった。
僕は小学校1年生から6年生まで絵は入選してきたので多少センスはあったと思うのだが、周りの連中と比べてこれまでの『描いてきた絶対量』で負けていたのだ。
描いてきた絶対量が多い人は、絵がめちゃくちゃ上手いだけでなく、頭でイメージできるものは全て表現できてしまう。
似顔絵の仕事をしているとたまに、消防士になりたいので、消防士のコスプレで描いてくださいとか言われるのだが、、僕はそう言った要望を上手く書けなかった。
こういう細かいところで『過去の描いてきた絶対量』が差となって出てくるのだ。
この世界じゃどれだけ頑張っても勝てない、僕がこの天才たちに追い着こうとすると、その人たちの描いてきた量を今から埋めないといけない。
それは人生戦略的に無理があるとふんだ僕は似顔絵の世界を去ることを決意した。
周りの人からは、辞めるのは勿体無いと言われたのがだが正直やりきった感じはあったので未練はなかった。
>>続く
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